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私的ルーヴル八十八宝めぐり②古代ギリシャ篇

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2004年1月発行
芸術新潮「精選!ルーヴル八十八宝めぐり」

美術史家の小池寿子さんがルーヴルの常設展示3万6000点から88点を選りすぐり、古代エジプトからドラクロワまで、効率よく楽しく回れるよう秘密の急所を伝授した永久保存版。私のルーヴル鑑賞におけるバイブル。そのバイブルをナビに、今春、私的ルーヴル八十八宝めぐりを実現(12年ごし・・)!

本来ならパリの街角動物のまとめが先だけど、12年ごしとあっては・・ここはルーヴルを優先!余韻に浸りつつ健忘録。

結局、2日間に渡り、88のうち74の宝をみることができた・・




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≪キュクラデスの偶像≫
紀元前2700年~前2400年
大理石

ルーヴルのサイトをみると 「腕を組んだ偶像」型の女性像の頭部 とある。当初はタイトル通り、胸の下で腕を組み、両足をつけ、爪先立ちをした、宗教的な役割を担った女性裸体像だったもよう。1910年前半に始まった狭義での抽象、モディリアニの絵画を思わせる。




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≪サモスのコレ―≫
紀元前2700年~前2400年

コレ―とは若い女性の彫像のこと。アルカイック期を通じてつくられ、ギリシャにおける人像表現の伝統を築いた。美しい衣の装飾の縁には「ケラミュエースが捧げ物として我をヘラに奉献せり」と記されていて、最高位の女神、サモスの神殿のヘラに捧げられたことがわかる。ヘラと言えば嫉妬深さは天界一w!この美しさが気に障ったのか・・頭部と左手に握っていたとされる神殿の鍵は腕ごとない。。




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≪ランパンの騎士≫
紀元前570年~前560年
大理石

なんともお洒落な髪型とお髭にも目が釘付け、こちらまでアルカイックスマイルになる(^-^)。アクロポリスに捧げられた大量の騎士の奉納品のひとつ。セロリの冠から、コリントスで行われたイストミア競技会(もしくはネメア競技会)の勝者を表現したとされる。イストミア競技会は古代ギリシア四大競技会のひとつ、開催は2年に一度、古代オリンピックの前後の年に開催されていた。

~ギリシャ美術を見て思うのは、断片と化してなお、絶大な存在感を保っていること。きっと、ギリシャ文明を担った人々が、人体の把握に大きな情熱を捧げていたからだろう。彼らが徹底した観察眼と深い思想から生みだした人のかたちは、顔がなくても胴がなくても、全体像を彷彿とさせる。~ 小池寿子

サモトラケのニケも然り。




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≪ファイニッポスとムネサレテの墓碑≫
紀元前4世紀
大理石

栄華の象徴パルテノン神殿が建造された頃、アテネを中心とするアッティカ地方で盛んにつくられた浮彫墓碑。夫ファイニッポスは亡き妻ムネサレテの手を握り惜別の情を伝えている。でもムッシュの視線は他の女性(召使)にいってるようにも見える。。ギリシャ神話を思わせる。。w




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≪眠るアリアドネ―≫
1世紀~2世紀
大理石

できたら天気のいい日の午前中に見てほしい・・と小池さん。朝陽に染まる寝姿がなんとも言えず美しい。怪物退治にクレタ島の迷宮へ入ったテーセウスに、アリアドネ―は脱出用の糸を与え無事帰還させる(難問を解決する鍵を「アリアドネの糸」という)。その後結婚の契りを交わすもののテーセウスは浜辺で眠るアリアドネをひとり置き去りにする。茫然自失のアリアドネー、果報は寝て待てと言うけれど、16世紀宗教戦争の真っ只中、 アリアドネーが眠るそのすぐ傍で、四人のカトリック同盟員が絞首刑にされている。。ちなみにここはカリアティードの間と呼ばれ(アンリ2世時代)舞踏会や公式会議に使用された。

余談・・
1546年、フランソワ一世は、建築家ピエール・レスコーに命じて、ルネサンス風の宮殿をつくらせた。残念なことに、完成を見ずして亡くなってしまうが。その後、息子のアンリ二世が引き継ぎ、1550年、このカリアティードの間を完成させる。




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≪ボスコレアーレの銀製杯≫
ナポリ近郊
紀元前2700年~前2400年


死を深く見つめるために用いられた骸骨たちが楽しすぎる。「生きている間は楽しみなさい。明日には何があるか分からない」点線でこう刻まれている。Memento Moriメメント・モリに象徴されるように、死に対して恐怖を感じるのではなく、死を記憶して、今を精一杯楽しめ!ということ。・・いまふと時計を見たら4:44だったw




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≪グロテスク≫
紀元前325年~前300年
テラコッタ(素焼き)

アテネの北、ボエオティア地方でつくられた小像。小さくて可愛いと思いきや死者の像。忌まわしいグロテスクな様相は悪の力を払いのける厄除けの力をもっているとされる。生と死、陰と陽、善と悪、この世の誰もが持つ二面性を象徴。




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≪墓参り≫
紀元前440年~前420年
陶器

白地レキュトスと呼ばれる陶製の壺の中には、死者の身体を清めるための香油が入れられていた。墓碑に布を巻き、供物を捧げ、音楽を奏で、死者とともに飲食をする風習が繊細に描かれている。古代ギリシャの死生観を静かなカンパーニュ・ギャラリーで想う。




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≪マントに包まれ二人≫
紀元前525年~前500年
陶器断片

小さな断片に遺された永遠の愛。。




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≪アキレウスの死を嘆き悲しむネレイスたち≫
紀元前570年~前550年
ダモン画
陶器

アポロンに指揮されパリスが放った矢が踵に刺さり殺された英雄アキレウス。その亡骸の周りには、母である海の女神テティスと9人の海のニンフ、習慣に従い"泣き女"が髪を乱しながら葬儀を盛り上げ?ている。




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≪踊る人たち≫
紀元前575年~前565年
陶器

鋭く美しく反る手首、エジプトの拍子木をふと思い出した。フランス人の友達に「ルーヴルが好き」と言うと「なぜ?オルセーの方がいいよ」と言われる。私にとってルーヴルは創造の宝庫だ。振付家でダンサーのニジンスキーも、この古代ギリシャの壺などに多く描かれた横向きのポーズに触発され、「牧神の午後への前奏曲」(ドビュッシー)の振り付けの参考にしたと言われている。その上演に触発された彫刻家のロダンも、ニジンスキーを彷彿とさせる躍動感溢れる彫刻をつくっている。


by cocobear-riko | 2016-04-14 16:24 | 1er arrt | Comments(0)

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